フィクションでもファンタジーでもSFでもないのに、男が「雨よ降れ」と言うとしばらくして本当に雨が降り始める。
当然女は驚き、目をキラキラさせた。
今では女が「雨よ降れ」と言うと雨が降る。
男は涙をこぼした。
なぜだろう?
*微要知識かもしれません。
*inspire元がございます。
*Q7 おっさんのオマージュです。
転載元: 「【雨ますか?オマージュ】every tear's a waterfall」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10429
*スコールが来る気配は、慣れれば誰でもわかる。
そしてここの気候に慣れた頃、君は夫の元に帰る。
「うわー ほんとに降るんだ!!
しかも滝みたいな雨!!」
この国に赴任したばかりの時、君は初めて体験するスコールに目をキラキラさせて驚いた。
まるで僕が、魔法でも使っているかのように。
僕たちは、2年間楽しく過ごした。
「雨よ降れ!」
雨季の後の信じられないような暑さも、突然発生して予測がつかないタイフーンも経験した君は、今ではスコールの予想が付くようになった。
そして、君は夫の元に戻って行く。
治安も衛生状態も決して恵まれているとは言えないこの国で、たった一人頑張っていた君を、一度も訪ねなかった夫の元に。
いつか君とAutumnを体験したいという僕の願いは、叶わない。
もうすぐ通りをスコールが駆けてくる時刻だ。
「雨よ降れ」
君のいないオフィスで、一人呟いた。
滝のように降る雨を見つめながら、僕は涙をこぼした。
「うわー ほんとに降るんだ!!
しかも滝みたいな雨!!」
この国に赴任したばかりの時、私は初めて体験するスコールに目をキラキラさせて驚いた。
まるであなたが、魔法でも使っているかのように思えた。
本当にあなたがかけた魔法は、別のものだったのだけれど。
「雨よ降れ!」
雨季の後の信じられないような暑さも、突然発生して予測がつかないタイフーンも経験して、今では私もスコールの予想が付くようになった。
そして、私はあの人の元に戻って行く。
穏やかな季節のない、優しい人たちの住む楽園で、たった一人幸せに暮らしていた私を、一度も訪ねなかったあの人の元に。
あなたといつかAutumnの街を歩きたいという夢など、叶うわけがない。
もうすぐ通りをスコールが駆けてくる時刻だ。
「雨よ降れ」
私の言葉で雨が降ることは、もう二度とない。
あなたのオフィスから見える虹と夕映えを思い出しながら、私は出国ゲートへ向かった。
ときには泣きじゃくって
からりと去って行く雨になりたい
(「わき役でいいから」by松任谷由実)
*その他、過去問参照リンクを貼っております。