
三畳一間の小さな下宿の窓の下を見ると
何もなかった。なぜ?
*この問題は亀夫君です。主人公に対して質問して回答を導き出してください。
YES/NOで答えられない質問もできます。
* 途中から変則的な動きになる可能性があります。
*Q5 白石コーソーさんのリサイクルです。
転載元: 「【神ますか?リサイクル】from when your Brooklyn broke my skin and bones」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10565主人公は1973年当時この下宿に住んでいた青年(の霊)。
窓の下には川が流れていると思っていた。
だが、現在は2025年。
この川は埋め立てられてしまっているため、存在しないことを、成仏していない主人公に伝えることがFA条件。
主人公は閻魔大王の部下(バイト)、まみたんに説得されても、成仏しようとしない。
だんだん無口にもなっていく。
なぜだろうか?
同棲していた主人公の交際相手は、川に身を投げて自殺した。
そのことを苦にした彼も、後を追ってこの部屋で命を絶ったが、未練の残った彼は、そのまま成仏せずにこの地に留まることとなった。
だが、この昭和の遺物のような下宿も取り壊しが決まり、どうしていいか慌てた。
彼女が身を投げた川に飛び込もうとも思ったが、ふと見るともう川はない。
(そこで困って尋ねたのが、冒頭の質問である。)
そんな彼に、彼女を死後の世界で一緒に探そうと説得してあげることがFAである。
「そっかぁ お兄さんも辛かったねえ」
「…」
「私も似たような状況だったし、まあありっちゃあり。私の相手は生きてたけどさ」
「…」
「もうこの部屋も取り壊しなんでしょ?そーとー古いもんねえ」
「…」
「…彼女さん、大事な存在だったんだ?」
「ええ、お互い東京に出てきて知り合いもない中、二人で肩を寄せ合いながら生きていました。でも、無理を重ねて働いていた彼女は体を悪くして。充分な治療も受けられず、悲観的になって下の川に身を投げたんです」
「そーだったんだぁ…彼女との思い出の川だから、川がなくなったことがショックだったんだね」
「はい、彼女を追いかけて身投げししようかと思ったんです。でも、自分が死んでることを思い出せなくて。死んでるのに後追いなんて、おかしいですよね。それに、そんなに長い月日が経って、埋め立てられてるなんて気づかなかった」
「言ったじゃん。私もそんなんだったって。霊あるあるだから。あの世行って、一緒に彼女探そ?山ほど死者はいるけど、意外と探せるんだ。えんまっちに頼んでみる?」
「…閻魔大王に?」
「そう。私の上司」
「いや、それはちょっと…」
「どうして?怖い?」
「そりゃあ、まあ」
「大丈夫大丈夫。そんな舌を抜くとか時代遅れなことはほとんどやってないし、むしろ心理的に詰めてくタイプwでも、意外と私の言うことなら聞くんだ、それが」
「う、うん…まあ、もう済んだことだし、腹を括るしかないですよね」
男は無事成仏した。
だが、まみたんは、成仏した時の男の表情に、どこか腑に落ちないところを感じていた。
もしかして、彼女は自殺ではなかったのではないか。
実は、あの男が…二人の行く末を儚んで、心中を図ったとしたら…
まみたんレベルでは、彼が意図的に嘘をついているとは感じられなかった。
ただ、自分が死んだことすら忘れているのだから、真実が自分でもわからなくなっているおそれはある。
閻魔大王なら、流石にそのぐらいのことは見抜くことができる。
それで、無意識に閻魔大王の所に行くのを躊躇していた。そんな可能性もなくはない。
もう少し話を聞いてみようかな。
自分で正直に謝ったほうが、確実にえんまっちの心象はいい。
それに、現世みたいな時効のシステムはないけど、これだけ時間が経っているのだから、今更釜茹でとか血の池とか違くね?と進言することもできる。(「意外と私の言うことなら聞くんだ、これが」)
「はぁ…生きてたら私、カウンセラーにも弁護士にもなれたのかもな」
まみたんは、長い茶髪をふわりと風に靡かせ、閻魔大王の審査待ちの男の元に向かうのだった。