キャバクラで夢のような時間を過ごしたカメオだが、あるカクテルが原因で夢から覚めたという。
どういうことだろうか?
狐狗狸さんのリサイクルです。
転載元: 「【蝶ますか?リサイクル】ごめんなさい、でも、諦めない。」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1076
結婚して、仕事をして、同じような日常を繰り返すだけの変わり映えのない毎日。
キャバクラには上司から誘われ、妻がいるからと遠慮をしていたものの、次第にストレス発散のために時々訪れるようになった。
次第に家から遠ざかるように、夜遊びが増えた。
そんな日が続いて、それはある日突然カメオの目の前に差し出された。
「はい、カメオさん、これどうぞ」
「これは……?」
青い、綺麗な透き通ったカクテル。
「ブルームーンです」
まだ恋人ですらなかった妻のカメコと初めてバーに訪れた時、彼女が注文したカクテル。
カクテル言葉は、「奇跡の予感」あるいは──
「あ、違いますよ、悪い意味で出した訳じゃないですからね?」
物憂げな顔をしたカメオをみて、女は言った。
「いや、うん、ありがとう。……でも、ごめん、今日はちょっと帰るよ」
「え?もうですか?」
女は驚いてカメオを引き留めようとしたが、カメオは構わずに店を出る。
満月に照らされたカメオの長い影が、地面に伸びていた。
帰りに目についたケーキ屋さんで妻の大好きなチーズケーキを買い、家に帰った。
「おかえりなさい、あら、今夜は早いのね」
カメコは驚いて、しかし、確かに嬉しそうにそう言って微笑んだ。
「これ、お土産」
「え、何なに、うわー!美味しそう!ありがとう!」
カメコは飛び切りの笑顔でそう言った。
「そういえば今日、満月なんだね」
「あぁ、そうね、今月ブルームーンだから……あ、何、それとかけたの?」
月は一ヶ月で一巡りするが、ごく稀に一ヶ月に満月が二度見られることがある。
そのことをブルームーンといい、めったにないこと、珍しいことの比喩表現として用いられることもある。
カクテルのブルームーンも、同じ。
カクテル言葉は「出来ない相談」──恋愛の上では、あなたと結ばれるなんて「めったにないこと」「出来ない相談」として注文される。
「一度はフラれたけど、諦めなくて良かった」
「……どうしたの?」
カメコは、心配そうに尋ねた。
「ううん……ごめんね、なんでもない。……『ただいま』」
「……『おかえりなさい』」
同じような日が続いたって、別に良いんだ。
今なら、そう思える。
毎日、愛する人の笑顔が見られるなら──
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***答え***
キャバクラで差し出されたカクテルが昔、愛する人が注文したカクテルであったため当時のことを思い出し、愛する人と会いたくなった。