戦国末期.
天下分け目の大合戦を目前に控え,戦国大名の亀康とその参謀達は,
全国の諸大名が東軍・西軍のいずれに与するかについて,綿密な分析を重ねていた.
その結果,東西の勢力はまったくの互角であり,
猪子家・鹿目家・蝶野家の三家こそが天下の趨勢を左右するとの結論に至った.
——猪子家は大大名ながら東西双方に良い顔をしており,肚づもりが読めぬ.
——鹿目家は二千挺以上の鉄砲を入手したと吹聴しており,両軍からの使者を悉く追い返したようだ.
——蝶野家は戦局を左右しうる五千三百の精兵を擁しながら,未だ旗幟を鮮明にしていない.
亀康たちはこれら三つの大名家が東軍と西軍のどちらにつくかについて
さらに軍議を重ね,「やはり戦局は五分」という結論を出したのだが,
蝶野家についてだけは,サイコロを振って決めたのだという.
なぜか?
転載元: 「天下の分水嶺」 作者: 丼 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10921「お館様,斯様,東軍と西軍の戦力は拮抗,戦局は五分にございます.」
「そうか,ならば我らはこうするか.」
亀康は賽子を取り出すとぽとり,と放り投げた.
出た目は「六」.これは西軍につく,ということである.
「さあ,賽は投げられたぞ.西軍御大将の磊田殿に急ぎ密書を送れ.」
「応!」
「そして,嫡男の亀忠には東軍の得川殿にお味方するよう伝えよ.」
「…心得ました.」
「さて,これから忙しくなるのう」
蝶野亀康は立ち上がると,眼下に己が城下を眺め,ため息をついた.