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希望の王子様

[ウミガメのスープ]

淀んだ森の奥深く、呪われた悪魔の屋敷に、お姫様が一人囚われていました。
王様は愛娘を取り戻すため、配下を何人も悪魔の屋敷に向かわせました。
しかし、屋敷に住み着いた化け物に行く手を阻まれ、逃げ帰るのが精いっぱいです。

ある日、隣国の王子様が、お姫様の救出に名乗りを上げました。
王子様とお姫様は幼馴染で、昔からずっと仲良しだったのです。
王子様は王様から託された騎士団と共に、悪魔の屋敷へ向かいました。

屋敷の重い扉を開けた先には、さびれた大広間がありました。
高まる鼓動を抑え、王子様は慎重に足を踏み入れます。
直後、頭上から耳を切り裂くような雄たけびが鳴り響き、
強い衝撃と共に巨大な何かが王子様の前に落ちてきました。

蛇、魚、ミミズ、カマキリ、あらゆる動物を泥でつなぎ合わせたかのような醜い姿。
屋敷の化け物は、王子様を見据えると、腕を振りかざし襲い掛かります。
しかし王子様はひるむことなく剣を抜き、号令を上げ、騎士団と共に一斉に斬りかかりました。

眠っていたお姫様は、少しずつ目を覚ましていきました。
王子様とお城の中庭で仲良く遊ぶ夢を見ていたのです。
ゆっくりとまぶたを開け、目の前に映った光景は、

大口を開けてお姫様に迫る、血まみれの化け物の姿でした。

それ以来、王様はお姫様を助け出すことを諦めました。
王子様も騎士団も帰ることはなく、
お姫様の姿を見たものは誰もいません。

めでたし。めでたし。

何がめでたいのか、状況を補完してください。


出題者:
出題時間: 2018年7月6日 21:54
解決時間: 2018年7月6日 22:38
© 2018 生姜蜂蜜漬け 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「希望の王子様」 作者: 生姜蜂蜜漬け (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1826
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「姫、起きろ姫。」
姫の耳に、とても懐かしい声が届きます。
その声に導かれるように姫は目を開くとそこには、

視界いっぱいに化け物の顔が広がっていました。

「ひっっっ!?」
息を飲み後ずさる姫に、化け物は、

「お前、その態度はないだろう。せっかく遊びに来てやったのに」

心底呆れたようにため息をつきました。
その声。その振る舞い。それはまさしく、
「王子?」
目の前にいるのが幼馴染の王子であることに姫は気づきました。
「……どうして?」
「どうしてって、遊びに来いって言ったのはお前だろう」
「違います!!」
姫は叫ぶと、王子に詰め寄りました。
「どうして逃げなかったのですか! 自分がどうなったかわからないのですか!?
 一度呪われたらもう戻れないのです!! もう―――
姫は王子に掴みかかろうとしてできなかった、自分の手を力なく見つめました。
私は、戻れないのです

屋敷にかけられた悪魔の呪いは、
そこにいるものを化け物に変えてしまうおぞましいものでした。
助けに来た騎士たちが、自分の姿を見て怯え、逃げ、殺そうとするさまに、
姫は何度も打ちのめされてきました。

「私のせいで、あなたまでこんな姿になってしまって、何とお詫びすればいいか」
うなだれる化け物の頭に、もう片方の化け物がぎこちなく手を伸ばします。
かつて人間だった時と同じように、王子の手は、姫の頭を何とか撫でようとしていました。

顔を上げた姫に、王子は優しく語りかけました。
「約束しただろう。何かあったら絶対助けに行くって」
化け物が顔を歪ませます。

姫は、王子が笑ったのだとわかりました。
姿形が変わり果てても、二人は気持ちが通じ合える。
あの時、王子が姫に気づいてくれたように。

姫は、王子の手に自分の手を重ねました。
その手は、終わりのない絶望の中で、唯一すがれる希望でした。

要約:呪いで化け物になった姫の心の支えになるため、王子は自分から呪われて同じ化け物になりました。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy