急にアレンが、バウムクーヘンをアウフヘーベンしたっていうのね。
意味不明だから帰ろうとしたら、しつこく引き止められて、こんな話をされたの。
俺はバウムクーヘンが大好きで、結婚したいほど愛している。
けれど、残念ながらバウムクーヘンと結婚することはできない。
だから、パティシエ(菓子職人)の女性と結婚しようと思う。
そして、毎日腹いっぱいバウムクーヘンを作ってもらうんだ。
でも結局、アレンはバウムクーヘンを捨てることにしたんだって。
なんでだと思う?
転載元: 「お菓子な弁証法」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/210アレンはあたしに告白してたわけ。
でもあたし、確かにパティシエだけど、バウムクーヘンは作れないの。
そもそも特別なオーブンが必要だし、専門店で修行しないと売り物にはならないから。
だから来年からドイツの師匠に弟子入りして、本物の味を習得しようと計画していたんだ。
アレンったらそのこと知らなくて、あたふたして。
だからあたし、ちょっと意地悪して、「お好きにどうぞ」っていったの。
そういうのは男らしく、ストレートにいうものでしょ?
哲学を専攻しているからって、変に回りくどくいってきて、ダサい。
あわてている様子は面白かったけどさ。
「…ごめん、最初からやり直させてくれ」
「ん?バウムクーヘンが作れる人と結婚すれば?あたし関係ないし」
「いや、バウムクーヘンなんかどうでもいい。…クレア、ドイツから帰ってきたら結婚してくれ」
最初からそういえばいいのに。
まぁ、最後はかっこよく決めてくれたから、いつか夢を叶えてあげる。