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くせぇもの

[ウミガメのスープ]

くっせぇ屁をこいた曲者によって、姫の命は救われたという。 一体なぜ?


出題者:
出題時間: 2017年11月28日 0:04
解決時間: 2017年11月28日 0:45
© 2017 アシカ 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「くせぇもの」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/268
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【要約】
姫の部屋に忍び込み、くっせぇ屁をこいた曲者は、匂いを消すべく換気をした。
その結果、部屋に充満していた一酸化炭素が外に流れた。こうして、一酸化炭素中毒で死にかけていた姫の命は救われたのだった。

【解説】
連絡もなくオタサーを休んだことを心配し、こっそり姫の部屋を訪ねた曲者。
ノックをしたが、返事はなく、戸に手をかけると、鍵は開いている。
一応外から姫を呼ぶが、何の反応もない。
鍵をかけずに外へ出かけるなんて不用心にも程がある。姫を狙う変態がいたらどうするのだ。
そう思った曲者は、姫に反省を促すべく、心を鬼にして中へ忍び込んだ。疚しい気持ちなど全くない。
寝室に歩を進めた曲者は、四畳一間の布団に横たわる姫を見つけ、クラクラと目眩がしてきた。
なんてお美しい、ではなく、鍵もかけずに寝ているなんて危険極まりない。
こんなの、外から忍び込んだ変態に襲われても文句がいえないではないか。
怒りに震えた曲者は、なんかものすっごい吐き気がするので、姫の隣で寝顔を眺めるべく腰を下ろそうとした。
そのときである。


ぷぅ〜↑ぅぅう〜↓ぷぅぅうぅぅう〜?ぷす〜ぅ〜



とんでもなくながく、はんぱなくくっさい屁が、曲者の黄門様から放たれた。
くっせぇ。自分でも分かるくらいくっせぇ。このままでは姫が起きてしまう。
いや、よしんば起きたとしても、拙者の印象が寝込みを襲おうとした屁こき侍に格下げになってしまう。
換気だ、まずは換気をせねば。せめて一介の侍として死にたい。
そう判断した曲者は、窓という窓を全て開け放った。肺にまで染み渡る冬の空気。というか寒い。
寒気だ。姫は寒気に晒されている。これで目覚めてしまうだろう。潔く切腹せねば。
と、覚悟した曲者であったが、なぜか一向に動く気配がない。Why?
なんとなく嫌な予感がした曲者は、何気なく部屋の隅を見やり。
ちろちろと紅く輝く石油ストーブ。
ドッと汗が吹き出した。

喚起だ!まずは喚起をせねば!必死に姫に呼びかけるが、意識はなく。

そこから先、曲者の記憶は欠けている。
が、どうやら換気がギリギリで間に合い、迅速に救急車を呼んだために、姫の命は救われたらしい。
けれどもあの日、姫が一酸化炭素中毒で死にかけていたことを知って、曲者はひどく狼狽えた。
危うく命を落しかけた姫のドジッ子ぶりにドン引きした。
しかし曲者は、忠義の士。彼の姫への愛は、風前の灯火か。否。吹きすさぶ寒風にあり、なお煌煌と燃えあがる七輪の炎であった。



歓喜だ。まずは歓喜をせねば。姫は生きていたのだ。
これから姫は命を刈り取る粗忽者というレッテルを貼られ、サークルはおろか大学にも行き辛くなるだろう。
もうこんな過ちは二度と繰り返させない。
たとえ曲者と、臭え者と罵られようとも、姫のお側で、姫が幸せな人生を歩むため我が命を捧げよう。
見舞いにいった病院の帰り道、駅前のニシン蕎麦を啜りつつ、鼻水も啜りながら曲者は固く決意した。
くさい芝居に酔った男が、真の騎士へジョブチェンジした瞬間であった。



その後、姫に幾度となく拒絶されながらも、徐々に信頼を勝ち得ていった騎士。
いつしか契りを交わすことを許され、二人は爆発するくらい幸せな生涯を送りましたとさ。おしまい。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy