告白以上失恋未満

カメオに恋心を知られたくなかったウミコは、髪を短く切った。何故?

明日はバレンタイン。愛しのカメオのために、ウミコはキッチンに立っていた。
チョコを溶かして、生クリームと混ぜ、適当な型に注ぎ、固まるのをまつ。
そうだ、アレを入れるのを忘れるところだった。

ウミコは自分の髪の毛を短く刻んで、チョコの中に入れた。

分ってる。自分の恋が叶わないことくらい。だってカメオには、もう付き合ってる人がいるんですもの。
だからこの髪はおまじない。カメオの心は私の傍にないけど、私の体の一部はいつまでもカメオとともにある。

でも、長いまま入れてしまうと食べたときに分ってしまう。私がカメオのことを好きだって、分ってしまう。
そうしたらカメオは私を嫌うだろう。いつもそうだった。私が好意を告げると、男達は私から離れてゆく･･･
だから短く切って、気付かないうちに体の中に入れてもらわなくちゃ。

冷えてゆくチョコを見ながら、ウミコはケラケラ笑った