不良勲章

右手を上げろと言われた男は左手を上げた。

そんな彼は勲章を手に入れたのだが、
それはどういった勲章だろうか?

正解条件:戦争(や紛争などの武力衝突)において右手を犠牲に大きな成果を上げたことを称えた勲章。

答え:Medal of Honor(名誉勲章)
「戦闘においてその義務を超えた勇敢な行為をし、若しくは自己犠牲を示したアメリカ軍人」に与えられる勲章である。

ダニエル・K・イノウエ氏は、第2次世界大戦において、
日系人部隊である第442連隊戦闘団に配属され、
ヨーロッパ戦線で大活躍した。
そんな彼がイタリアでドイツ軍の機関銃陣地相手に無双している時、
敵の手榴弾が彼の右手(と握っていた手榴弾)を吹っ飛ばした。
彼は吹っ飛ばされた手榴弾を左手でつかんで機関銃陣地に投げ込み、(右手は放置)
右手首から血を流しながら左手1本で戦闘を続けた。
(その後さらに足を撃ち抜かれてようやく昏倒し、戦ってる間に駆け付けた味方によって後方へ搬送された。)

1年8か月もの入院の末、イノウエ氏は数多の勲章と共に帰国。
その後、(右手を失って当初の志望である医者への道を断念したため)政治の道に進むこととなる。
そして、1954年にハワイ準州議会議員に、1959年に連邦下院議員になる。
そして、下院初登院の日、下院議長に
「右手を挙手して宣誓の言葉を続けてください」
と言われる。
イノウエ氏は左手を挙げた。
右手がないからである。
合衆国のために右手を失ったがための行動を非難する議員など、当然存在しなかった。

その後も政治の世界で大活躍し、
上院仮議長なども勤め上げ、
2012年12月17日に、この世を去った。

そのあまりの活躍から、
高速道路に名前がつき、
望遠鏡に名前がつき、
駆逐艦にも名前がつき、
国際空港(ハワイのハブ空港であるホノルル国際空港)にも名前がついた。

勲章についても、
大統領自由勲章(アメリカ大統領が与える最高位の勲章)
議会名誉黄金勲章(アメリカ議会が与える最高位の勲章)
桐花大綬章(日本が与える最高位の勲章)
など、とんでもない勲章を受章している。

気になった方は調べてみるといいでしょう。