【HNYC】初日の出を、君と。

[亀夫君問題]

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まだ薄暗い中、初日の出を拝むためウミガメ山頂にある山小屋を目指すあなた
その途中、小さな神社を見つけたあなたは、休憩も兼ねてそこで初詣を行うことにした。
神社はこじんまりとしていて鳥居の奥に小さな本殿があり、その手前に賽銭箱が置かれていた。
周囲には小銭が散らばっていて、お金が無く代わりに投げ込まれたのか、錆びついた指輪まで落ちている。
あなたは財布を取り出して五円玉を投げ入れると、頭上にある小さな鈴を鳴らし、そして二礼二拍手した。

──今年も無事に初日の出が拝めますように。

最後に一礼をして立ち去ろうとした時、背後から声を掛けられた。
振り返ると、そこには一人の青年が立っていて、あなたの顔を見るや否や何かを言おうとして、口を噤んだ。
しかし、すぐに青年はまた顔を上げ、尋ねた。

──すみません、少しお願いがあるのですが……。

青年はそう言って、申し訳無さそうに笑った。
お願いは神社の神様に聞いてもらえば良いのでは?
そう思いながらも、心優しいあなたはひとまず話だけでも聞いてあげることにした。

***ルール***
1.青年の願いを聞き、無事に初日の出を見て下山することができればゲームクリア!

2.「あなた」は「シンディ」という名の女性です。参加者の皆様は彼女になり切って行動をしていただきます。

3.質問数制限はありませんが、時間制限は 2020年1月5日(日) 21時まで とします。

4.ノーマルエンドとトゥルーエンドがあります。バッドエンドはありません。
  時間制限が来た場合は強制的にノーマルエンドに誘導されます。

5.ノーマルエンドの場合は、最も物語に貢献したと思われる参加者(1〜数名)にエルナトが独断と偏見で正解を付けます。
  トゥルーエンドの場合、参加者全員に正解を1つずつ付与します。
  参加者の定義は1回以上質問欄に質問を書き込んだこと、とします。


出題者:
出題時間: 2020年1月1日 14:58
解決時間: 2020年1月5日 22:07
© 2020 エルナト 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「【HNYC】初日の出を、君と。」 作者: エルナト (Cindy) URL: 
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トゥルーエンド条件
1.エルナトがこの山に登るのが初めてでないことを突き止める。
2.1を確認した後、マイアについての話を聞き出す。
3.マイアの話の後、エルナトが太陽に向かって拝むために手袋を外し指輪についての描写が入る。
  ここで彼の指輪について触れ、神社の賽銭箱の横に落ちていた指輪のことを告げる。
4.指輪を拾いに行き、エルナトが過去から立ち直るきっかけを与え下山する。

※1に気付くための伏線。
a.雲の中を歩く時に天気の話をすると「もうすぐ雲を抜けるのでちゃんと日の出は見られる」と話す。
b.山道を進む動作をする時に「ロープを伝えば山頂に着く」と話す。
c.山について適当なことを伝えると「そんなものはない」と正される。
上記の不自然さから「この山に登ったのは初めてではない」ことを指摘する。

※補足
本来指輪を拾ってストーリーを進めてもらう予定がありませんでしたので
1、2の前に指輪に行ってしまいストーリー補正が微妙な形になってしまい申し訳ありません。

***

ここより、解説ストーリーです。
長文になります、ご了承ください。

***

「ちょっとは運動した方が良いよ。どう?今度、一緒に。初日の出見に行こうよ。
 私、高校生の時から実は毎年登ってるんだけど、結構良いもんだよ?」

部活を引退してからずっとだらだらと過ごしていたエルナトを心配して、彼女がそう提案する。
初めは断ろうとしたエルナトだったが、彼女がしつこく誘うものだから、OKの返事をした。

年が明け、まだ夜は明けない早朝。二人はウミガメ山の山頂にある山小屋を目指し登山を開始する。
山頂までは数時間かかるらしく、ライトで行く先を照らしながら一歩ずつ山を登っていく。
他にも登山客が何人もいるようで、時より遠くの方でライトがチカチカと光っているのが見えた。

一歩ずつ歩みを進めていく。視界が少しずつ広がり、小さな神社の鳥居が見えてきた。

「見えてきたね、ウミガメ山神社だよ。あれが見えたら、山頂まではもう少しなんだ」

何度も山を登ってきた彼女がそう語る。
少し疲れて息の上がっていたエルナトは、それを聞いて気合を入れ直す。
日の出まではあと1時間。なんとか間に合いそうだ。

「でも……随分曇ってるね。こんな天気で、日の出なんて見えるのかな?」
「大丈夫。山頂は雲より上だから。もう少しよ」

二人は神社で少しだけお参りすると、再び山頂に向けて歩き始めた。
しばらくして雲の中に差し掛かったらしい、さっきまで見通しの良かった景色は一変、吹雪に変わる。

「足元踏み外さないように気を付けないと」

彼女のセリフに、エルナトは頷いた。
一歩ずつ、道を間違えないように柵を繋ぐロープをしっかりと握りしめながら、歩く。

「おっとと、危ない……雪にハマって手袋取れちゃった……って、あれ?無い!」

彼女が、突然そう言った。何が無いのかと尋ねると、どうやら指輪が無くなったらしい。
二人の結婚指輪だ。

「今、手袋が外れちゃった時に落ちちゃったかな……その辺に落ちてないかしら」

そう言って、彼女は今来た道を戻ろうとする。
しかし、吹雪は勢いを増しており、数メートル離れただけなのに、彼女の姿はすぐに見えなくなった。

「え、マイア、大丈夫!?」

すぐに追いかけエルナトは下山した。雲の中を抜け、神社まで戻るが彼女の姿は見当たらない。
もしかしたら何処かですれ違い山頂を目指したのかもしれない。
そう信じて、エルナトは再び山頂を目指し歩き始めた。

雲を抜け、山頂の目印である山小屋の周囲は人で賑わっていた。
一人ひとり顔を覗き込むようにして彼女を探した。

だが、見つからない。

程なくして、東の空が俄に明るくなり、そして真っ赤な太陽が遠い山の向こうから顔を覗かせる。
周囲が歓声を上げるなか、エルナトは一人涙した。

感動した訳ではなかった。

本当なら、今頃、この絶景を彼女と──。

明るくなるのを待って、エルナトは再び彼女を探し回った。
麓まで降り立ち、彼女のスマホに電話を掛けるが、圏外だった。
電源を切っているのか、電波の届かない所にいるのか──。

一日中探し回ったが見つからず、エルナトは藁をもすがる思い出警察に電話をした。
彼女と山で逸れたことを話し、捜索依頼をお願いした。

大丈夫。きっとすぐに見つかるさ。
そう願い、エルナトは一人で家路についた。

.

.
彼女は、帰って来なかった。

.

.

しばらくの間、毎日のように山を登った。
休みが終わり平日は仕事、土日は山登りの日が続いた。

けれど、彼女の笑顔を再び目にすることは出来なかった。

どうして──。

なんでよりによって──。

.

.

.

何度悔やんでも、報われることはない。

休みの日は必ず足を運んでいた山にも、次第に週に1回、月に1回とその数を減らしていった。

1年が経ち、新年を迎えたその日。

エルナトは再び初日の出を見に山を登る。

皮肉にも彼女を失ったことで何度も登ることになったその山は、一年前よりもあっさりと登り切ることができた。

1年前と同じ、一人だけで見る太陽。

その日もやはり、エルナトの頬を涙が伝った。
それからは1年に1回、初日の出を見るために山を登り続けた。

そして今年──神社で、一人の女声の姿を見つけた。

一瞬、彼女だと思い、声を掛けてしまった。

しかし、当然そんなはずもなく、振り向いた女性は全くの別人だった。

山に登り続けたら、彼女と出会うことができるかもしれない。

そんなありもしない夢をずっと見続けていたことに、エルナトは気が付いた。

声を掛けられ、呆気にとられている女性。
すみませんと言って立ち去ろうとしたが、やめた。

今日は、あの日と同じようにどんよりと空が曇っている。

エルナトにはそんな義務はないにしても、この女性がもしあの雲の中で足を踏み外すようなことがあれば、する必要のない後悔に苛まれてしまうに違いない。

そう思い、エルナトは1つ嘘を吐くことにした。

「道に迷ってしまいまして──山頂までの道がわかれば、教えて頂けませんか?」

.

.

.

マイア、ごめんね。

僕は今日限りを持って、山登りをやめようと思う。

こんな寒空の中、君を見つけることが出来なくてごめん。

でもせめて、あの日君がなくしてしまった指輪だけでも見つけることができたら。

僕は、君の分まで生きていくことができそうだ。

だけど──これだけ広い山だ。

.

.

そんなこと、叶うはずもないか。

.

.

.

自らの左手の薬指に嵌められた鈍色の指輪を手袋越しのそっと撫でながら、エルナトは空を見上げる。

どんよりとした雲から、ひらりひらりと、雪が落ちてきていた。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy