ワタラナイトワタル

道を渡ろうとしている男がいる。
進行方向の歩行者用信号は青だったが、渡らずに立ち止まって信号が変わるのを待った。
信号が赤になり、また青になったが、まだ男は渡ろうとしなかった。
再び信号が赤になってから青に変わると、男はようやく渡り始めた。

立ち止まっている間、男は久しぶりに自分の「体験」を思い出していた。

どんな「体験」を思い出したのだろうか？
思い出した理由と共に答えよ。

救急車のサイレンを聞いたので、自分が事故に遭って足を負傷し、救急車で搬送された時のことを思い出した。

男は数年前に事故で足を負傷して以来、歩くのがかなり遅くなっている。
青信号の途中からその道を渡ると渡っている途中で信号が赤になってしまうため、一度赤信号になるのを待ち、青になった途端に渡り始めることにしている。

今回は、2度目の青信号の直前にサイレン音を鳴らした救急車が近付いてきたため、赤信号通過の邪魔にならないよう渡るのを控え、さらに次の青信号まで待った。
その間に、自分が搬送された時、救急車内でずっとサイレンを聞いていたことを思い出していたのだ。



【追記】
一般に、患者が搬送前後に救急車の車体を見る時間はさほど長くなく、搬送中に車内でずっと聞いているサイレン音に比べて印象が薄いです。
また、サイレン音を鳴らしていない救急車では赤信号を通過しないため問題の条件が成立せず、サイレン音より車体の外見を重視する解答は不適切と思われます。
しかし、今回は許容内とし「救急車を見たから」でも正解とします。