町外れにある一軒の西洋造の建物。そこは知る人ぞ知る「忘れさせ屋」である。
この店の店主に依頼すると、ひとつだけ任意の記憶を忘れさせてくれる、というのだ。
ある人は手痛い失恋の記憶を、またある人は陰惨な事件の記憶を消すためにこの店を訪れる。
さてある日、その噂を聞きつけたカメオが「忘れさせ屋」を訪れたのだが、カメオが店主に依頼したのは「昨日の夕食のメニューを忘れたい。」という内容だった。
いったいなぜ、カメオはこのような依頼をしたのだろうか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Q4:ZENOさんの問題文のリサイクルです。
転載元: 「【忘れますか?リサイクル】ハッピー・アムネジア」 作者: TATATO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4122
新婚のカメオは、毎晩妻が作った夕飯を食べている。
妻は決して料理が得意な訳ではなかったが、それでも栄養やバラエティに気を遣って食事を作ってくれるため、カメオは最高に幸せだった。
そんなある日、カメオは同僚の家に招かれた。
そこで同僚の奥さんが作る夕飯を御馳走になったのだが、彼女の料理の腕は相当なもので、夕飯はほっぺたが落ちるほど美味しかった。
それゆえに、カメオは今まで食べていた妻の夕飯のレベルの低さを思い知らされてしまった。
こんなふうに比較をしてはいけない、妻は本当に愛情を込めて食事を作ってくれているのだ。
そうは思うのだが、それでも同僚の奥さんの美味しい料理を食べてしまった今となっては、今後妻の料理を美味しく食べられる自信が無い。
こんなことなら夕飯なんて御馳走にならなければ良かった。
自分にとっての最高の幸せをもう一度取り戻すため、カメオは翌日忘れさせ屋に向かった。