父子の絆

[Classic] [Long-term Yami]

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たまには親に顔でも見せようと久々に帰省した日の夜、風呂上がりの父に向かってマサヤは尋ねた。

「なぁ、親父。最近よく出歩いてたりするのか?」
「ん?急に何の話だ?」
「ほら、コレ。俺が前にあげたやつ。まだ使ってくれてるんだろ?」
「あぁ、それか。あー……まぁ、なんだ。最近体の調子が良くてな。あちこち歩き回ってるよ」

だがその言葉とは裏腹に、父の表情は曇っていた。そんな父の様子をマサヤは訝ったが、父はもうそれ以上語るつもりは無いとでも言うように寝室に行ってしまった。

そして翌日。マサヤが自宅に帰ろうとして実家を出たところで、隣に昔から住んでいるお婆さんに出くわした。

「あら、マサヤさん。お久し振りね。お父さんに顔を見せに来たの?」
「御無沙汰してます。そうですね、『最近調子が良くてよく出歩くようになった』と言っていたので安心しました」
「あら、そうなの?うーん……出歩くって言っても、スーパーに行く時くらいじゃないかしら。今までと特に変わりは無い印象だけどねぇ」

これを聞いたマサヤはしばらく考え込んだが、ふと「『体の調子が良い』どころか、むしろ父はだいぶ体が弱くなっているのではないか」と思い至った。何故マサヤはそのように考えたのだろうか?
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2020年4月26日(日)22時に出題終了予定です。


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Created At: Apr 18, 2020, 10:09 AM
Solved At: Apr 26, 2020, 1:00 PM
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第3回Cindyオブザイヤーノミネート作

定年退職以降めっきり家から出る機会が減った父の運動不足解消のキッカケになればと思い、数年前にマサヤがプレゼントした万歩計。父が風呂に入る際に外したのでこっそり確認してみると、かなりの歩数が表示されていた。しかし隣人が言うには父は頻繁に出歩いたり遠出している様子は無いらしい。あまり出歩いてもいないのに歩数が多いということは歩幅が相当狭まっているに違いない。マサヤは息子に心配させまいとする父の気遣いを感じるとともに、父の衰えを実感せざるを得なかった。


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Cindy