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【HBC2020】母をたずねて北千里

[ウミガメのスープ]

心優しいチサトが、都心のマンションで一人暮らしをするようになって3年。忙しくて一度も実家に帰っていなかった。
「たまには顔出しいや…」
「そうだね…」

別に実家と仲が悪いわけじゃない。ただ、一回足が遠のくと、なんとなく、行きづらい。
だけど、このままっていうわけにはいかないだろう。これが良い機会なのかもしれない。
そう考えたチサトは近所の有名なアイスクリーム店でアイスを買った。そして、それをマンションに残したまま、荷物を持って実家に向かった。

状況を説明してください。


出題者:
出題時間: 2020年9月25日 22:14
解決時間: 2020年9月25日 22:52
© 2020 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「【HBC2020】母をたずねて北千里」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4940
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[簡易解説]
亡くなったペットをドライアイスで凍らせて運ぶため。

[長文解説]

ましろ。レオ。ポロ。そして真新しい「スズ」の文字。
チサトは実家の庭の片隅で手を合わせていた。

小さい頃から動物好きだった心優しいチサト。実家ではいつも動物と一緒だった。でも、一人暮らしのマンションでは犬や猫の飼育は禁止。チサトは寂しかった。
そんな時出会った、ハムスターの「スズ」。「スズ」のおかげで、チサトは都会の一人暮らしも頑張れた。
しかし、ハムスターの寿命は短い。「スズ」も3年足らずで虹の橋を渡った。
それは仕方ない。生き物には寿命がある。悲しかったが、チサトは受け入れた。しかし、そこではたと気付いた。実家で見送った子たちは庭の片隅にお墓を作っていた。でも、ここはマンション。埋める場所などない。どうすれば…
(ごめんね、スズ)
チサトはスズを包んで冷凍庫にしまった。

実家の母から久しぶりに電話があったのはそんな時だった。
今まで何回か連絡があっても、何かと言い訳を付けて、帰らなかった。スズの世話があるから、っていうのも本当は言い訳だったのかもしれない。

チサトは買えるだけのアイスクリームを買い、できる限り沢山のドライアイスをクーラーボックスに詰めてもらった。そして、家に戻るや否や、アイスを冷凍庫にしまい、「スズ」と花束をクーラーボックスに入れた。
そして、実家に着くと、真っ先に庭の片隅に埋めた。
(ごめんな…寒かったやろ…)

「…あんたももうちょっと帰ってきいや。ましろたちも寂しがってんで。あんたいちばん可愛がってたやろ。」
「せやな…帰らんとごめんな。こんどアイスでも買うてくるわ…」
「ええてそんなん。」

*ペットの埋葬に関しては法律があります。私有地なら基本的に大丈夫なようですが、念のため確認しましょう。
*gattabiancaはネイティブの関西弁スピーカーではありません。近畿圏ユーザーの皆様、不自然な言葉遣いは寛大な気持ちで受け止めてください。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy