【HBC2020】宇宙人、襲来

「大統領、宇宙人が現れました。いかがいたしましょう？」
「宇宙レーダーに変化は？」
「ございません」
「ならば彼女らを帰還させよ。丁重にお迎えするのだ」
「御意」
「それとパーティーの準備は？」
「抜かりありません。あとは正式な日時が決定すればいつでも行えます」
「こればかりは彼女の体調次第だからな。主役には是非来てもらいたいところだ」

これはとある大統領と補佐官の会話である。
宇宙レーダーに変化はないのに宇宙人が現れたというのは一体どういうことか？

地球外での出産が無事に行われたから

2XXX年、某国で新たな試みが為された。
『地球外での出産』である。
彼女は無事に出産を終え、世界初いや宇宙初の『宇宙人の母』となった。
「あとは帰還するだけね」
今頃、世界は大ニュースになっているだろう。

「(私自身はそこまで大それた事をしたとは思ってない。確かにしんどかったけれども。出産自体は人間の行う普通の行動に過ぎない。ただ、場所が他の人とは違ってただけ)」

のちに彼女はそう記している。
「子供の名前、決まった？」
助産婦が聞いてきた。正確には助産婦の知識を付け焼き刃で身に付けただけの宇宙飛行士の仲間だが。
「帰ってから旦那と確認を取るけど、シンディにしたいかな」
何となく思いついた名前を口にした。
軽はずみだが旦那なら笑ってOKを出してくれる気がする。
「(生まれて早々大きな試練が待ってるけど、宇宙の出発も無事だったし帰りも心配いらないわ、シンディ。地球に帰ってお父さんに会いに行こうね)」