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There'll be no more tears in heaven

[ウミガメのスープ]

国際協力機関で働く逆瀬川雲雀は、その国への何回めかの出張で、初めて旧宗主国がその国の自然を破壊していた事に気付いた。気付いた時点ではまだ空港から出たばかりだったし、これまでも何回も同じ場所は通っていたはずなのに、なぜ今更そのことに気付いたのだろう?

*一件堅苦しそうな問題ですが、全く専門知識は必要としないので、気軽にご参加ください。


出題者:
出題時間: 2020年12月19日 21:30
解決時間: 2020年12月20日 1:16
© 2020 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「There'll be no more tears in heaven」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5242
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小さい時から世界で活躍することを夢見ていた逆瀬川は、学生時代に海外に留学した。
ところが、小さい頃から健康で、アレルギーなどとは無縁だったのに、どうしたことか、留学先で初夏を迎えると、鼻炎、目の痒み、涙目など、ひどいアレルギー症状に襲われたのだ。
どうやら、その国固有の樹木の花粉による、花粉症らしい。
幸い、その国と植生が異なる日本にはその木が生えていないので、日本では花粉症にならなかったようだ。
どの木が原因なのかは調べようとしなかった。どうせわかったところで、花粉は避けようがないのだから防御に努めるほかなかった。

その後社会人になり、念願叶って国際協力機関で働くようになった逆瀬川。
出張でよく足を運んだ国は、かつて彼女が留学していた国の旧植民地であり、その国の言葉が広く通じた。

今回の出張は12月だった。南半球のその国に出張するため、コートは日本に預けてきた。
いつもと同じように空港に就き、定宿に向かおうとしたその瞬間。
待て。何かがおかしい。
ひどいくしゃみ。鼻水。目が痒くて涙が止まらない。
こんなのは初めてだ。いや違う。2回目だ。これは間違いない、あの木だ。
そうか、あいつら、この国にあの木を持ち込んだのか。
南半球のこの国では、12月にあの木の花が咲くのだな。
その正体を確かめたことがなかったから、これまで何度他の季節にこの国に来ても気付けなかったのか。

この国には独自の植生があるというのに、なぜわざわざこの木を持ち込んだのか。全くひどい話だ。

完全に個人的な事情で苛立ちながら、やむなくマスクとサングラスをかけてホテルに向かう逆瀬川であった。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy