ミルキー・ビレッジ

[亀夫君問題]

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東国大学。誰もが入りたがる有名大学とまでは行かないが、そこそこレベルの高い大学。
ここで専任講師をしながら民俗学を研究している私の元に、一つのメールがやって来た。その送り主はなんと、戦前から昭和にかけて活躍した高名な民俗学者・薄田町男の孫、薄田米造氏だった。

米造氏は研究室に入ると、こう切り出した。

「祖父が訪れたという、『おっぱい村』を探してほしいのです」

……え?思わずそう声が出た。そんな私の様子を見た老人は悪戯っぽく笑った後、こう続けた。

「祖父は研究ノートを家にたくさん残していました。民俗学とは全く関係なく暮らしていた私ですが、定年後、高名な学者だったという祖父のノートを見返すうちに面白くなってしまって、いつしか祖父の研究についてもっと知りたくなり、年寄りだてらに民俗学を学び始めたのです。ですがそのうち、祖父のノートの中に、一つだけ世に発表されていない話があることに気付きました。
それが『御扇舞村』の話です。祖父のノートによると、その村は人間の母乳を売ることを産業としていたそうです。だから『おおうまい』……『おっぱい村』だとね。
あまりにも突拍子もない話なので、もちろん最初は全く信用しておりませんでした。しかし、祖父の他の研究はその後論文として発表され、貴重な資料として今でも参考にされています。『おっぱい村』以上に突拍子のない話もです。そんな中で、祖父がたった一つだけ発表しなかった話……。
私も気になるのですが、なにぶん足腰が悪く病も抱えている身で、フィールドワークには行けません。それにこのノートは、定年後から始めたような俄か者よりも、実際に研究している方が持っていたほうが価値があると思い、このようにお願いに来た次第です。
どうか、『御扇舞村』の実在について、真偽を調べて頂けないでしょうか?」

学者の研究ノートに誰も知らない謎の村……この話に興味を持った私は、この件について調べてみることにした。

※一人称視点で進行します。「私」になりきって進行してください。
※どうしても進めなくなった場合、「恩師」に助けを求めてみましょう。何かヒントをくれるかも?


出題者:
出題時間: 2021年1月12日 12:10
解決時間: 2021年1月17日 12:03
タグ:

私は米造氏に『おっぱい村』は実在したことを報告した。

米造氏は「何故祖父はこの話を発表しなかったのでしょう」と尋ねて来た。
気になった私が色々と調べてみたところ、どうやら母乳を売る商売が、当の御扇舞村の女性の大きな反発を招いていたようだった。
これは想像に過ぎないが、町男氏の妻は当時としてはかなりラディカルな考えの持ち主だったらしい。そんな町男氏の妻は、赤ん坊のための母乳を不特定多数に売ってしまうということを嫌悪したのではないか。大の大人が乳房に吸い付いて母乳を飲むというのはともかく、確かに不特定多数に売るというのは「伝統」となるほど古い習俗ではなかったようだ。ましてや当時その習俗は現在進行形だった。どう取り扱ってよいものか分からないうちに、発表のタイミングを逃してしまったのではないかと思う。

私自身も実際にこの話を世に出すかは、まだ分からない。現代的な観点からすれば、「御扇舞村」はとても奇妙で気持ちの悪い村なのかもしれない。しかし、村の習俗というのは、その人たちが生きる中で現れた知識や知恵の集合体でもあり、今回分かったことは「御扇舞村」があった証である。そんなことを考えながら、珍しく手書きで物を書きたくなった私は、新しい研究ノートの最初に今回の一件を書き始めるのだった。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy