【異国ますか？リサイクル】préfères mourir que de te rendre

candyは僕たち二人がハマっている、水平志向パズルのサイトだ。
正確には、僕が最初にハマり、彼女を引き込んだ。
今では彼女の方が熱心で、月に５０問近く出題することもあるぐらいだ。

「シン太郎」はcandyの相当古株のユーザーだった。
メンバーに慕っているものも多く、特にウミコはシン太郎に心酔していた。ちょっと恋していたぐらいだったかもしれない。

そんなある日、僕は偶然、ある秘密を知ってしまった。
学食で目の前に座っていた、語学のクラスが一緒の一馬が、「シン太郎」として書き込みをしていたのだ。僕は声をかけた。
シン太郎、いや、一馬はそのことを認めた。
でも、そのことが一馬には辛かったのだろう。その後しばらくして、シン太郎はcandyに書き込みしなくなってしまった。

「なんかごめんな一馬。俺のせいで」
「いいんだ。僕がbai maoさん（＊ウミコのことだ）を気にしすぎてるのかもしれない。気が向いたらサブアカで戻るかもしれないけど、多分シン太郎にはならないよ。外国にでも行ってしまったと思ってもらえばいいよ」

「留学とか海外赴任でもしたんじゃないの？なんか、ほら、海外ネタとか多い人だったじゃん」

「あーあ、シン太郎の問題好きだったのに。きっとめっちゃ頭の切れるかっけー人だよね？　
あ、おはよー、一馬、ウミガメのスープって知ってる？…あーあ行っちゃった。一馬ってさ、イケメンだけど愛想ないよね。
まあいいか、カメゾウ、学食行こ？」