石を投げつけられて笑っている女。女は別にドMではないのだけど、一体どうして笑っているのだろう?
*Q2 メラさんのオマージュです。
転載元: 「【石ますか?オマージュ】people couldn’t believe what I’d become 」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6514
女王たるものそうあるべきものだと教わって生きてきたから。
*以下長文解説です。
「何へらへら笑ってるんだ!こっち見ろ!」
バルコニーに現れた女には容赦無い罵声と石つぶてが投げつけられた。
女は、不敵にすら見えるような笑みを浮かべていた。
(カイザリン…私は何も間違ったことをしていません…そうでしょう?)
「あんたが好き勝手暮らしている間、こっちがどれだけ死ぬような思いしたと思ってんのよ!」
(私は、14歳でたった一人でこの国に嫁いで来ました。誰も私の味方になってくれる人はいませんでした。夫は…陛下は優しい方でしたが、私のことを考える余裕はありませんでした。私の周りにいた人は「ただ楽しく生きれば良い」というばかりで、遊ぶことしか教えてくれませんでした。気づいたらその人たちは去っていて、私は一人ぼっちでした。)
「お前の無駄遣いのせいで、この国は破綻したんだよ!責任を取れ!」
さすがに、女の元まで届く石つぶては多くなかったが、それでも小さな小石はいくつか女の体に当たった。
それでも女の顔からは笑みは消えなかった。
(カイザリン…あなたは娘たちが不幸であっても、この国が、世界が発展するならそれで良いとおっしゃいました。この怒れる人たちはきっと私を殺すのでしょう。でも、それでこの世が良い方に向かっていくのなら、それも思し召しですか、カイザリン?)
「お前を死刑台に送ってやるからな!この贅沢女!」
一つ小石が女の顔を掠め、傷を作った。しかし、女は笑っていた。
(私は、カイザリン、いえ、お母さまのように強くも賢くもありませんでした。でも、「女王であるのなら、自分が間違っていない限り常に堂々振る舞い、微笑んでいなさい」というお母さまの教えには従ってきたつもりです。お母さま、私は今女王らしく笑えていますか?)
そう言って一歩踏み出し、これまで以上ににっこりと、優雅に、威厳をたたえて微笑むと、深々と宮廷風のお辞儀をした女王。
その立ち居振る舞いの見事さに、群衆も罵声と投石をやめてしまったという。
*マリーアントワネットのエピソードが元ネタですが、主にフィクションの印象が強く、史実とは異なるところもあります。また、他の王妃のイメージも少し混ぜました。
*娘たちが不幸せでもこの国が発展することを選ぶ、というのは、娘の大半を政略結婚に送り出したマリアテレジアが実際に言っていたそうです。徹底していてすごい。