【狩りますか？リサイクル】かかときびす

村の近くに棲み着いた人を食らう魔物を退治しに来た男。
しかしその魔物を見ると、男は「退治する必要はない」と思い、そのまま踵を返した。一体どうして？

男は、魔物を退治するより良い対処法を知っていたので、村人に指導することにしたから。

男は、魔物を見た後で村に立ち寄り、村長に報告した。

あの魔物は確かに人を食らいますが、移動が非常に遅いのです。
要は、「無闇に魔物に近づかないこと」と、「魔物を村に近づけないこと」に気をつければ、ほとんど危険はありません。

刃物が効かないせいで倒しにくいし、倒したところで利用価値が全く無くて遺骸の始末に困りますから、自然に山に帰ってもらうのが一番なんですよ。

あの魔物が嫌う草の種をお渡ししておきます。
これを村の周囲に蒔けば簡単に芽を出し、その後の手入れも不要です。
多分、数ヶ月で姿を消すでしょう。

そうそう、草の若芽は食材にもなりますよ。

翌年から、村の周囲には毎年香り高いヨモギが生い茂り、「草餅」が村の名産品になったという。