軍手には肉球型の滑り止め

天使のように賢く、常に落ち着き払っている猫のアンジェロ。
本来足を踏み入れるべきでないところに、馬鹿のように駆け込むことなんてしない。
毎朝ゆっくり庭のパトロールをするのが日課だ。
でも、今朝に限って、慌てて飛び出て、また走って戻ってきた。
なぜ？

町外れの廃屋（庭付き一戸建て）に住んでいる元家猫のアンジェロ。
現在4匹の子猫を育てている。

今朝方、廃屋の片隅で火の手が上がった。
原因など、とんとわからぬ。

「こどもたちを つれて にげるにゃ！！」

アンジェロは、1匹の子猫の首根っこを咥え、慌てて飛び出て安全な場所に子猫を運び、また走って戻ってきて、次の子猫の首を咥える。

数分後、アンジェロは無事に、すべての子猫を安全な場所に移動し終えた。

「これから どこに いこうかにゃ？」

子育てに忙しいアンジェロには、燃え盛る元住居を振り返る暇などない。