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"This could be heaven or this could be hell"

[亀夫君問題]

こんにちは。皆さんにご相談があります。
私は福祉事務所で働いているんですが、市民の方が、ある男性を事務所に連れてきました。
記憶がないようで、家族や友人は?お仕事は?など何を聞いても反応しないんです。
警察に確認しても、該当の行方不明者はいないようですし、どうしたらいいか困ってるんです。

どうしたらいいかご協力いただけませんか?

*この問題は亀夫君です。「私」に対しては、YES/NOで答える質問以外の質問もできますし、行動を取らせることもできます。「男性」に対して直接質問したり、行動を取らせることはできません。

*百人一首 その三十四【たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに】からのinspireです。


出題者:
出題時間: 2022年5月22日 20:13
解決時間: 2022年5月22日 20:26
© 2022 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「"This could be heaven or this could be hell" 」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7366
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浦島太郎に関連したもの(カメ、釣り竿、玉手箱のような塗り箱など)を見せて反応するのを見て、「竜宮城に行ったこと」「玉手箱を開けたこと」などを尋ねると、少し涙を流して反応する。
関連したものを見せない状態で、尋ねても、警戒して反応しない。
また、自分が「浦島太郎」と呼ばれていることも知らないので、そう尋ねられても答えられない。

なお、太郎の年齢は50代後半。
老人になった、とされているが、当時の平均寿命などを考えると、そのぐらいであったとしても不思議はない。

松野PSWのレポートを読みながら、私は確信を強めた。
やっぱりそうだったのか。
彼は、浦島太郎だ。
 
違う時代から来ているのだから、現代日本語は容易に理解できない。
いきなり違う時代に連れてこられたら、それはショックだ。記憶障害にもなるだろう。

とりあえず、無戸籍者として新しく戸籍を作成し、住民登録もして、彼に生活保護を受けさせることにした。
名前は、「高砂太郎」とした。
彼が、記憶を取り戻すのが幸せなことなのかはわからない。
取り戻したところで、現代社会に適応していけるのかも。
でも、「高砂さん」が市民になった以上、出来る限りのことはやっていくしかない。
それが私たちの仕事なのだもの。

うっすらと思い出す。きれいな女のもとで暮らしていた。
周りでは魚が舞い踊っていた。あの踊りのことは忘れない。
魚たちのことを「お友達」と呼んでいた美しい女。とても楽しかった。

なんでそこを出てきたのかは覚えていない。最後の記憶は、門まで走っていった時のことだ。

「何か辛いことがあったらこれを開けて。ここを出ていくことはいつでもできるけど、あなたはここから離れることはできないの。いつでも戻ってこられるわ。」

気付いた時には、海辺で倒れていた。空気は息もできないぐらい悪く、ひどい騒音がして、めまいがした。
彼女からもらった箱を開けたような気がするけど、覚えていない。
何歩か陸地のほうに進むと、見たこともないような大きな物体が行き来していた。

私は気を失った。
気付いた時には、親切な人が風呂に入れてくれて、握り飯を食べさせてくれて、なんだか奇妙だけど清潔な服を着せてくれた。


そして、なんだかわからない場所に連れていかれ、今はここで生活している。

あのきれいな女の所は夢みたいなものだったんだろう。
今では少しずつその記憶も薄れていっている。
 

ここの生活も最初は奇妙だったが、それなりに慣れてきた。
まあ、人間にはそういうことが起こるものなんだろう。
ここが地獄なのか極楽なのか、今が幸せなのか幸せでないのか、そんなことはわからないけれど、今いる場所で生きていくしかないのだからな。

今は暇があれば釣りばかりしている。
そういえば、この砂浜の松林は、ずっと昔見たことがある気がする。
古い友達のように、不思議と懐かしい感じがするんだが、気のせいなんだろうな。

*制度上のことなど、実務と異なる面があるかもしれませんが、フィクションですので、お許しください。

Inspired by 「浦島太郎」 and “Hotel California” by Eagles


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy