この先...により

最近のカーナビには、渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムで知らせてくれるシステムがある。その道路の渋滞の深刻度を無色、黄色、赤の順にで表示してくれるので、渋滞回避や到着時刻の予測に便利な機能だ。特に赤色は何キロにも及ぶ大渋滞であることが多く、進行方向に見つけるとゲンナリしたりするものだ。

男は車を運転していた。今日は風が強いんで涼しい1日だ。
しかし、カーナビを見ると、反対車線が何キロにも渡って赤色になっていた。
それもそのはず、この道は迂回する道が無く、街から向こう側に行くにはこの道を通るしかない。もちろん、帰る時は反対車線を通る必要がある。

「毎年毎年勘弁してくれよなー。」

用事が済んだ男は風を嫌って窓を閉めると、大渋滞に突入していった。

状況を説明してください。

男はお墓参りをする為に、川の向こう岸にある大きな墓地に向かっていた。
ふとカーナビを見ると、また今年も反対車線が大渋滞していた。
人間の目では何も見えないが、機械は見えない何かを映し出すという。
今はお盆祭り。街と墓地を結ぶ道はこの大橋しかないので、川の向こう側にいるご先祖様達が、街に帰るために行列を成している…という噂だ。

「毎年毎年勘弁してくれよなー。」

墓参りを終えた男は、涼しかったはずの風が生温かくなったので窓を閉め、何もいないが渋滞している道に突入した。