母の遺品整理をしていたカメコは、ふと母が生前、浮気をしていたのではないかと気になった。
好奇心から母の黒い携帯電話の着信履歴を見ると、母が所持していた電話と全く同じ携帯番号から着信があったようだ。
いったいどういうことだろう?
※自分の電話番号に自分で電話をかけると、留守電になります。(要知識回避)
黒ますか?Q9 Kumaさんのオマージュです。
転載元: 「「黒ますか?Q9オマージュ」着信アリ」 作者: FCK (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7984
カメコが寂しくないように、自分の番号に自分で電話をかけて留守電サービスを起動し、「これは遠いところにいる父への留守電だ」とカメコに嘘をつくことで、本当は父なんていないという事実を隠した。
カメコは三人家族に生まれた一人娘であったが、物心がついた時から父親と会ったことはなかった。
「パパはずっと遠いところでお仕事をしているから、中々帰ってこれないんだよ」
母にそう説明されていたカメコは頭では納得していたものの、やっぱりお父さんが恋しくなる時もある。
そんな時は母に頼み込んで、お父さんに宛てた「留守電」でメッセージを送ることにしていた。
「プルルルル…」
「…こちらはお留守電サービスです。メッセージをどうぞ」
「…お父さん、早く帰ってきてね!」
…
カメコが二十になった時、母が急死した。死因は過労ということだった。
葬式会場にすら、父の姿は無かった。
葬式を終え、ある程度気持ちの整理を終えたカメコは母の遺品整理を始める。
その異様に少ない母の私物を整理していると、子供の頃に母が使っていた黒い携帯電話を見つけた。
「前から気になってたけどお母さん、お父さんが普段いないからって浮気とかしてないよね??」
ほんの好奇心で着信履歴を見てみると、どうしてかほとんどが二種類の番号からだった。
消費者金融、そしてお母さん自身の電話番号。
「消費者金融はともかくとして、、お母さんの電話番号…?」
発信者の電話番号が着信履歴に表示されていることの意味がカメコは理解できず、試しに自分で自分の電話番号に着信を入れてみることにした。
「プルルルル…」
「…こちらはお留守電サービスです。メッセージをどうぞ」
カメコはその懐かしい音声を聞いた時、全てを理解した。