【二物衝撃 No.５】I'm strung out on John Wayne

女はその日、高いビルの上から飛び降り自殺をしようとしていた。
なぜその日に限って、スキンタイトジーンズとウェスタンブーツ、なんていう格好をしていたのかは、わからない。
前の彼氏がそういう格好が好きだったから、ということも少しあったのかもしれないけど、別に彼への当て付けで死ぬつもりでもなかった。
ただ、街の暮らしに疲れて、世の中から消えたかっただけ。それだけだ。

遺書を足元に置いて、靴を脱いで、いざ飛び降りようとする。
靴を脱いで…靴を脱いで…

あれ、脱げないよ？
足を振り回す。

かっこ悪い。これ。

さっさと脱いで飛び降りないとダサい。

「何やってるんだ！ばかな真似はやめなさい。動かないで！」

中途半端に脱げたウェスタンブーツを履いて、みっともなく立ち尽くす私。

その男の手は私の肩をがっしりと掴んでいた。

「それが私たちの馴れ初め。」

「はぁ？？？？？まじで！？」