続・ウサギとカメ

これは、あの有名な「ウサギとカメ」のその後のお話……。

かけっこの競争中に居眠りをしたせいでカメに負けてしまったウサギは、カメにリベンジを挑みました。

しかし、またもや競争中に居眠りをしてしまったウサギ。
しかも、前回よりも長い時間寝ています。
カメはその間にもゆっくりと歩を進め、ゴールへと近づいていきます。

ところが、先にゴールをしたのはウサギでした。

ルートや天候などの条件、ウサギとカメの身体能力は前回と同じだったのですが、一体なぜでしょうか？

カメとの競争直前、ウサギは草をたくさん頬張っていました。
カメはウサギに尋ねます。
「かけっこの前にそんないっぱい食べて、また眠くならないのかい？」
するとウサギは、
「今日は大丈夫だよ。ちゃんと作戦があるからね」
と答えました。

そして、かけっこ本番。
ウサギとカメはスタートラインにつきます。
ウサギは食後の眠気からか何度もあくびをしています。
カメはそんなウサギを横目にし、今日も勝つ気満々です。

「位置について、よーいどん！」

ウサギは横に大きくジャンプすると、カメの背中に飛び乗りました。
カメは一体何が起こったのか分からない様子でしたが、ウサギが乗っていると分かると、ウサギを振り落とそうともがき始めました。
しかし、ウサギは落ちません。
ウサギは振り落とされないと分かると、カメの上でウトウトし始めました。
カメはウサギが寝ている間にゴールをすれば、先にゴールラインを越えることができると考え、懸命に歩き出しました。
しかし、ウサギが乗っているせいで足取りは重く、前回よりもスピードは遅くなってしまいます。

それでも何とか中間地点まで到達したカメ。
ウサギはまだ起きそうにありません。

カメは根気強く歩を進め、とうとうゴール目前まで来ました。
とその時、ウサギが目を擦りながら体を起こしました。
辺りを見渡すと、目の前にはゴールが見えます。
ウサギはカメから飛び降りると、一目散にゴールへ向かっていきました。
カメはそれを見守ることしかできませんでした。

カメより先にゴールをしたウサギ。
しかし、なぜかあんまり嬉しくありません。
振り返ると、カメは何とかゴールをしようと必死に歩いています。
ウサギは思いました。
「カメさんはこんなに頑張っているのに、一体ボクは何をしてるんだろう……」
ウサギはカメの元へと走り出しました。
「カメさん、ごめんなさい……。ズルをしてごめんなさい……。背中、大丈夫？」
ウサギの目からは涙が溢れています。
「ボクの甲羅はそんなやわじゃないからね。さあ、ウサギさん元気出して！一緒にゴールに行こう！」
「ありがとう、カメさん……」

ウサギとカメはゴールへと向かいました。
ウサギはカメに寄り添うようにゆっくりと歩きます。
1歩、また1歩と……。

そして、ウサギとカメはゴールにたどり着きました。
「ありがとう、ウサギさん」
「こちらこそありがとう、カメさん」
彼らは握手を交わすと、ニッコリと笑いました。


ーおしまいー