転載元: 「【伝わりますか?オマージュ】and I know you heard about me」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10457
*人が少ない所の方が、夫の密会の情報をキャッチしやすいため。
「こんな人の多い東京なんかだったら、あなたがどこで何をしてるかなんて、流石にわかんないわよ。いくら人脈に自信がある私だって」
「え?」
妻はいわゆるコミュニケーションお化けというやつだ。
とにかく驚くほど友人知人が多く、人望が厚い。
仕事とプライベートの両方でそれをフル活用しており、どちらかで作った人間関係をもう片方に生かす、ということもある。
そんな忙しい妻だから、俺に関心を払う余裕なんてない。
もちろん、それは、俺にとって、都合の良いことだった。
「全都道府県のそこそこの規模の街には、大抵親しい人がいるのよね、私。特にあなたの好きな高級飲食店とか高級ホテルとか高級ブランド界隈には多いわね。ほら、それに私たち、珍しい苗字でしょう??あなたは基本カード払いだし。」
まずい。雲行きが悪すぎる。
「あなたぐらいの金払いのいいイケメン、小さな街ならなおのこと目立つわね。綺麗な人を連れていたら尚更。私ほど綺麗な人はいなかったっていう報告が大半だけど、そんなところまで気を遣わなくていいのにね、みんなw 」
そう話している間も、妻のスマホには、次々と着信が届く。
「あー、先週青森に出張に行ったって言ってた時の伝票か、これ。出張、ね…w おととい山梨に行ってた時のがこれね。これなんてすごい 明後日予約取ってある徳島の…まだ行ってもいないのに。速すぎw 本当に噂が飛んでくるのが速いこと。」
そんな。そこまでだなんて。俺は震えが止まらなかった。
「ふふっ♡どうしようかなあ。離婚訴訟専門の弁護士だけで、弁護団が組めるぐらいたくさん仲良しがいるのよね。相談したいから、ちょっとみんなでご飯食べてくるね。ばいばーい」