ほんの少しだけ

大して飲む気も無いのに、嘘をついてまで僕のコーラを奪って飲んだあの女の顔を、僕は忘れない。忘れられない。

なぜ？

いつも通りの帰り道。炭酸が飲めないはずのあの子が、僕の飲みかけのコーラを奪って飲んだ。「喉渇いてたんだよね」
苦手な炭酸をほんの少しだけ口に含んでこちらの反応を伺うその顔は、夕焼けのせいかほんの少しだけ赤らんで見えた。