
ここに二つのよく似たジュエリーピースがある。
Aは品質の高いダイアモンドをはじめ、エメラルドなどの高級貴石を配し、地金にはプラチナを用いている。
Bは模造石である高級クリスタルを使っており、地金はロジウムコートされたシルバーだ。
一般人にはおおよそ見分けがつかないが、ジュエリーに詳しく宝石の鑑定士でもある女は当然違いが分かっていた。
しかし女は、Aを偽物、Bを本物と判定した。
なぜだろうか?
*Q7 セルフリサイクルです。
転載元: 「【偽ますか?リサイクル】a diamond's gotta shine」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10610
高級宝飾店が作った名品ジュエリー。
Aは、そのデザインを他のジュエラーが真似て作った品。
Bは、その宝飾店が数量限定で出した公認複製品だから。
日本が誇る高級ジュエラー、カメモト。
その歴史的名品といえば、パリ万博に出展された、アールデコデザインの白眉とも言われる「水仙」である。
シンプルな中に独創性と品格を称えたそれは、もはやミュージアムピース〜芸術品〜であり、本物は国立宝飾美術館に飾られている。
カメモト自身は、水仙は一点しか作っていない。
最高級の素材と技術を注ぎ込んだ逸品は、量産できないとの考えからだ。
だが、そのデザインは流行し、多くのジュエラーがそれを模倣した。
まだ著作権法などが確立していない時代である。
そして、そのデザインはシンプルであるがゆえに、定番として定着していった。
なので、カメモトも今更著作権を主張することもしなかった。
しかし、この度、オリジナルの「水仙」製作150周年を記念して、カメモトが「公認レプリカ」を出すこととなった。
売上は全額環境保護のためのチャリティ、デザインは完璧にオリジナルと同じだが、使っている素材は高級クリスタルであるスニャロフスキーとシルバーである。
限定100点(通し番号付き)、模造品とはいえ、6桁後半はする高級品だが、ファンは飛びついた。
そのことをよく知っている女は、Bを「カメモト公認の本物」、Aを「他のジュエラーが作った模倣品」と認定したのである。