ある旅客機が空港に着陸しようとしている。
そして、滑走路に着陸する直前、
搭載されている2基のエンジンが両方とも停止した。
旅客機は滑走路の手前に墜落した。
幸運にも火災が起きなかったので、
旅客機の残骸はすべて調べることができた。
しかし、エンジンが止まった原因がどこにも見当たらなかった。
足りない部品もあってはならない異物も見つからず、
墜落の衝撃以外で壊れた部分も見つからなかった。
証拠品は魔法のように消えてしまったのだ。
では、一体何故エンジンが止まってしまったのだろうか?
※某魔法使いさんは関係ないです。
転載元: 「魔法のように【何故と聞く扉】」 作者: 彩雲 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/4157
答え:氷が配管に詰まったため
旅客機はアラスカ上空を飛んでいた。
そのため、燃料の中の水分が凍り、
それが詰まってしまったのだ。
捜査が始まったころには溶けてしまったので、
いくら探しても見つからなかったのだ。
※"燃料が凍結した"でも大体一緒なので正解とする。
実は、一応検証はしていた。
その結果、飛行ルートであるシベリア上空の-30℃でも微小な氷の粒ができるのみで、
それもFOHE(燃料-オイル熱交換器。熱いエンジンオイルで冷たい燃料を温めるもの。要するにヒーター。)で溶かされるため、
問題にはならないはずだった。
しかし、飛行ルートの気温を厳密に再現する検証を行うと、新たな事実が判明した。
-30℃で冷却され氷の粒が形成されてから、-20℃に温めると、
その氷の粒同士がくっついで大きな氷の粒になり、
それが配管の内側にくっつくのだ。
さらに、その状態でエンジンの出力を急激に上げ、燃料流量を急に増やすと、
その衝撃で氷の粒が配管から剥がれ、一気に流れ込む。
そして、それがFOHEの入り口に詰まってしまうのだ。
(FOHEは効率的に熱交換できるよう、たくさんの細い管に枝分かれして表面積を稼ぐようにできている。
そのため、入り口が細い管が集まって網目のようになっている。)
以上の事実が判明したため、FOHEの設計が変更され、
詰まった氷を即座に溶かせるようになった。