「もう駄目だぁ・・・おしまいだぁ・・・。」
頭を抱えて絶望する男の前には、お皿に乗った一本のきのこ。
いったい、なぜこのような状況になってしまったのか、明らかにしてほしい。
転載元: 「【終わりますか?オマージュ】きのこ危機一髪」 作者: 名無し編集者 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/5238
川に落としたきのこを拾おうとした男が、河童を怒らせてしまったから。
きのこ狩りで道に迷い、川岸の岩に腰かけ途方に暮れている男。
日は傾き、巣に帰る鳥達の声が騒がしい。
「仕方ねえだ。ここらで野宿だな。」
まずは空腹をしのごうと、取ってきたきのこを籠から取り出したところ、うっかり手をすべらせて川に落としてしまった。
「あんれ!待ってけれ!もったいねえ!」
男は慌てて立ち上がり、流れていくきのこを追いかけた。
まもなく男は、川が大きく曲がった場所に差し掛かった。
深い緑の水をたたえた淵。
きのこは、ゆっくりと円を描き、たゆたっている。
「良かった。あれなら何とか取れそうだべ。」
男は近くの樹からむりやり枝をもぎ取り、きのこをたぐり寄せようとした。
「それ!こっちゃ来い!」
ところが、どうやらきのこのすぐそばに何かが沈んでいるらしい。
きのこは途中まで近づいたが、あとは枝が何かを引っ掻くだけで、さっぱり寄ってこない。
「邪魔なもんがあるだね。どうしたもんかな?」
突然、何かの指が枝をつかみ、ぐいっと引っ張った。
男は咄嗟のことに枝を手放す暇もなく、淵に落ちてしまった。
「うわー!・・・助け・・・誰か・・・」
もがく男は、手に触れた丸い何かに夢中でしがみついた。
何やらもさもさと水草のような物が丸く生え、その内側に溜まった水に、男が落としたきのこが横たわっている。
「げほげほ・・・やれ、助かっただよ。」
しかし、男がしがみついた物はぐらりと揺れ、男はもう一度悲鳴を上げた。
「うえ!? こ・・・これは!?」
振り落されまいとしっかり抱え込んだ物は、河童の頭だった。
水草と見えたのは皿の周りの毛で、怒りに燃えた目玉が二つ、男の胸元から上目遣いで睨みつけている。
さっきから枝でつつきまくったのはこれかと気が付いた男には、もう三度目の悲鳴を上げる力は残されていなかった。
「もう駄目だぁ・・・おしまいだぁ・・・。」