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【二物衝撃No.②、No. ⑬】be us against the world

[ウミガメのスープ]

stamp かつては武芸も学問も修めた私だが、主が没落すれば武士など寂しいものだ。
浪人の身としてしばらく流浪の暮らしをした後、今は町で子供たちに学問や剣術を教えている。
この街は大きな問屋や小売、ちょっとした花街なんかもあって、割と栄えているのだ。

今日は子供たちに物語の読み聞かせをしていた。
そもそも、私は剣術よりも読み書きが得意で、道場では女子にも負かされたぐらいだった。
そして、私は、何より子供達と過ごすのが好きなのだ。
学問も剣術も大事だが、一生大事に思えるような友を作れ。
それを何より伝えたかったから、よくそういう物語を語って聞かせたのだ。



さて、私の寺子屋には女子も混ざっている…いつか女子にも読み書きが必要になる、というのが私の師の教えだったからだが、そのうちの一人の女子が着ている藍染めの浴衣を見て、私はそれまで足を向けたこともない花街に向かい、花魁に木べらを振りかざした。




どうしてだろうか?




*一人称で書かれた問題ですが、普通のウミガメです。


出題者:
出題時間: 2023年2月23日 20:54
解決時間: 2023年2月23日 21:16
© 2023 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「【二物衝撃No.②、No. ⑬】be us against the world」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8409
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stamp *その浴衣は、同じように主の没落で行方が分からなくなってしまっていた、一緒に道場に通っていた幼なじみの女性が着ていたもの。彼女がこの街で芸者をしていると知り。その女性を見つけると、武芸に秀でた彼女なら確実に避けられるだろうと思い、竹刀の代わりに木べらを振りかざした。


その女子の名前は、おみつ。
花街のお茶屋の娘で、利発な子だったーちょうど、幼なじみのおりんのように。

同じ主に仕えるおりんは、男勝りで、私より2つ下だったが、読み書き算盤はもちろん、剣術も私よりできた。
女にしておくのはもったいない、とみんなに言われるほどだった。
女にそんな言葉を使うのはおかしいのかもしれないが、「竹馬の友」そんな言葉が似合っていた。




しかし、私の家と同様、おりんの家も主の没落とともに、領地を追われた。
おりんは元気にしているのだろうか。
下級武士の娘が、花街に身を堕とすのはよくあることだったが、そのことを思うと心が痛んだ。

おみつを見ていておりんを思い出したのは、その賢さからだけではない。
その浴衣はおりんのものだ。青海波に千鳥を散らした、おりんのお気に入りだった。




「おみつ、その浴衣はどうしたのか?」

「うちの醍醐姐さんのお下がりです。醍醐姐さんは、うちのお店でも一番の稼ぎ頭だって。器量よしで、頭も切れて、母さんは、私に譲るまでの間、醍醐姐さんに店を任せたい、って言ってます。」





私は、これまで分不相応だと思い足を向けなかった花街に足を向けた。


すると、おみつの家である茶屋から、一人の花魁が姿を現した。
もちろん一張羅ではなく普段着姿だが、他の女性たちとは比べ物にならない贅を尽くした装いだった。
そして、それは紛れもなくおりんであった。

周りには誰もいない。私はとっさに手に持っていた木べらを振りかぶった。
あの武芸の達人、おりんなら避けられるはずだ。



すると、花魁は、手に持った扇で易々と私の木べらを弾き飛ばした。

「おりん…」
「どちら様ですのん?醍醐と読んでくんなまし、お侍さん。」







*時代考証とか設定とか言葉遣いとかめちゃくちゃです。
 雰囲気で読んでくださいませ。


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy