暴君ディオニスのもとに捕らわれたセリヌンティウスを救うためシラクスに向け旅立ったメロス。
しかしその道中で大勢の山賊と遭遇してしまい,「さすがに勝てない」と判断したメロスは,
山賊たちを振り切るために無我夢中で逃げた結果,迷子になってしまった。
何かシラクスへ向かうための手がかりはないか,と辺りを見渡していたメロスは,ひっそりと佇む小屋を見つけたので,そこに住む人に道を聞いてみることにした。
「突然お邪魔してすいません。シラクスにどうしても急いで行く必要があるのですが,どうやって行けばいいですか?」
「ふむ…。この小屋を出て少し先に進んだところに分かれ道がある。どうしてもシラクスに早く向かいたいと言うなら,左へ行くのが良いじゃろうな。」
「そうですか!ありがとうございます!」
「ほっほっほ。どんな事情か知らんが気をつけてな。」
小屋を後にしたメロスは,その分かれ道に差し掛かると,ゆっくりと右に歩き始めた。
一体なぜ?
転載元: 「いや、走れよメロス」 作者: スクエア (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/251
教えられた通り,メロスは小屋から少し進んだところに分かれ道を見つけた。
右の道は,なだらかな山道。だがどれくらい行けばシラクスにたどり着くのか見当もつかない。
左の道は,人が1人通るのがやっとの崖道。踏み外せば命の保証はない。しかし,その崖の向こうには確かにシラクスの塔楼が見える。
(さっきの爺さんの「気をつけてな。」ってこういうことかよ…)
とは言ってもこの崖道を行けば,シラクスに早く帰れるであろうことは間違いない。
覚悟を決めたメロスは,崖を背にして,横方向にすり足で歩き始めた。
その後,崖道を渡りきったメロスは,満身創痍ながらもセリヌンティウスの処刑時刻寸前にシラクスに到着することが出来たという。