
逆瀬川雲雀は、夫と娘の玲美と3人でスーパーに買い物に来ていた。
国際協力機関で働いている逆瀬川は、今は国内勤務だが、娘を連れて海外赴任していることもあった。
「なんか3人でスーパー来るのとか久しぶりね」
「ほんと。海外でママと二人暮らししてた時は、よくママと買い物行ってたけど」
「夕飯何がええ?鍋でもするか?」
「楽で良いわね。肉系?魚系?」
「うーん、肉かなぁ?」
そんな他愛無い話をしながらカゴに食材を入れ、レジに並んだ3人。
「3番レジにどうぞ〜」
(あっ)
その瞬間、玲美は、母の顔色が一瞬曇るのを見逃さなかった。
「…分かるよ、ママは気にしちゃうんだよね」
「あ、やっぱ気付かれたか。
なんかちょっと、申し訳ない気持ちになるんだよね。
もちろんそれも承知の上でここに来てるんだから、その必要ないんだけど」
「だよねー。最近日本でも多いし。でも海外だとこんなことないよね」
「うん」
「なんや?なんかあったんか?」
さて、逆瀬川雲雀はなぜ申し訳なく感じたのだろう?
転載元: 「takes a man to suffer ignorance and smile」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10781
*おそらく信条的に扱いたくないであろう食材を渡すことになるから。
「ママはムスリムの店員さんに豚肉のパックを渡したくなかったんでしょ?」
「そ。できる限り触りたくもないものだからね」
「あー そんな感覚なんや…」
「まあ 日本でスーパーのバイトしてる時点でそれは覚悟してるでしょうけどね。でもしたいかしたくないか、って言ったらしたくないんだろうな、って」
「海外ならムスリム用のスーパーもあるしね」
「あー 品揃え良かったね あのトルコ系スーパー。Anyway, 今日はほうれん草とか入れて豚しゃぶしましょ」
「わーい」