
仕事ができて、常に年下を大事にする、エレガントでセクシーな美魔女首席研究員、洲鳥芽理(すとり・めり)。
仕事柄研究熱心な彼女は、スキンケア、ヘアケア、メイク、ファッション、ダイエット、フィジカルトレーニング、メンタルトレーニング、そしてポジティヴシンキングと、常に若々しく美しくいるための研究も常に欠かさない。
しかし、ある日鏡の前で、「もうっ 一気に年取ってくれれば良いのに」と呟いた。
「珍しい。弱音か?」
後ろで聞いていた夫が、声をかけた。
「違うわ。だってその方がずっとかっこいいし、好きなおしゃれができるんだもの」
芽理の説明を聞いた夫は、「何を贅沢な」と言い捨ててその場を立ち去った。
なぜ芽理は一気に年を取りたいと思ったのだろう?
*百人一首 その九十六【はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり】からのinspireです。
転載元: 「don't mean nothing to you, they're a mirror」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10585
*中途半端な白髪よりは、シルバーヘアの方が楽だしかっこいいから。
「こんなにしょっちゅう白髪染めするのってうんざりじゃない?
いっそ全部白髪になってくれれば良いのに。
シルバーヘアってそのままでもプラチナブロンドみたいでかっこいいし、綺麗な色に染めたって良いし。
やっぱり紫かな。
ブルーのインナーとかメッシュもやってみたい」
「何を贅沢な。
髪があるだけ感謝しろ、髪が」
嵐の後の庭のように少し心許なくなった頭頂を気にしながら、夫は立ち去るのであった、