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【二物衝撃 No.10】louder than a lion

[亀夫君問題]

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「逆瀬川所長?オリシャ自然保護区の件で、相談が上がってきてるんですが。」
「ああ、あの大手デベロッパーのヴァンポルトが上げてきてる案件ね。どうした?」
「自然環境に配慮したエコツーリズムの一環として、エコサファリを推進したいとか言ってたじゃないですか。」
「ああそうね。で、それがなんて?」
「観光の目玉になる予定の動物たちがいなくなった、って、ヴァンポルトが困ってるんです。まさか、密猟者なんじゃないかって…」
「え、本当に?」


*この問題は亀夫君です。
 皆さんは、国際協力機関の現地事務所で事務所長を務めている、逆瀬川雲雀の部下として、逆瀬川と一緒にこの問題を解決してください。

*皆さんは、逆瀬川に質問することができるほか、手持ちの資料などを調べてもらうこともできます。
 質問はYES/NOで答えられる以外のものも可能です。

*逆瀬川を通じてヴァンポルト社にリクエストをあげることもできますが、必ずしも回答が得られるかはわかりません。
 また、展開によっては、他の登場キャラに質問できるようになるかもしれません。


出題者:
出題時間: 2023年10月1日 16:11
解決時間: 2023年10月1日 23:05
© 2023 gattabianca 作者から明示的に許可をもらわない限り、あなたはこの問題を複製・転載・改変することはできません。
転載元: 「【二物衝撃 No.10】louder than a lion」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9079
タグ:

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*オリシャ自然保護区内には、先住民族オロル族の土地があったことを突き止め、その地に住んでいて立ち退きを命じられたオロル族の人たちが、動物を外部に追いやっていたことを明らかにし、計画の再検討に持ち込めればFA。

*ヴァンポルト社は、自分たちが立ち退きを命じたことについて、最初からは明らかにしていない。
 「元々どのような用途の土地だったのか」と尋ねても「居住区域もあったようだ」と答えるのみ。
 いつ頃までどんな人が住んでいたのか尋ねる、または現地調査で判明した比較的新しい集落の存在を指摘すると、自分たちがリーダーと交渉して立ち退いてもらったことを認める。

*密猟者であれば、死体や血痕、ワナ、生け捕りにしようとした痕跡などがあるはずだが、それは見当たらない。

*オロル族について調べると、昔から、動物と共存しており、動物を囲い込むようにして移動させる能力があることが判明する。

*現地調査でわかることは、家のこと以外では、特にめぼしいことはないが、たまたま英語の通じるオロル族の人物を見かけて、質問すると、リーダーに聞いてくれ、と言われる。
 リーダーに問い合わせると、ヴァンポルトとのやりとりがわかる。

大手デベロッパーヴァンポルト社は、利益重視のこれまでの開発方針を改め、自然環境保護など社会貢献の観点を持った開発方向に転向を図っている。

手始めに手がけたのが、このオリシャ自然保護区だ。

多くの動物がいるこの保護区を、エコサファリの場として、環境に配慮した観光地として開発しようと考えたのである。

そのため、植物の伐採を含め、景観には最大限手を加えない(変更を要する際は研究者に調査を委託する)、石油燃料は使わず、環境負荷の少ない乗り物や機材を使う、宿泊施設にも再生建材を使う、他にも再生可能な素材を極力使用し、自然について体験学習ができるリサーチセンターを作る、などの要項がプロジェクトには含まれている。

しかし、そのプランには一点見逃されている観点があった。
そこに住んでいる人々である。


この保護区には、先住民族のオロル族が先祖代々住んできた土地が一部含まれていた。
彼らが代々動物と共存してきた、神聖な地である。

オロル族の全ての居住地がこの保護区に含まれるわけではないので、さほどの問題にはならないとヴァンポルトは考えたようで、オロルのリーダーと交渉の上、保護区内からの立ち退きを依頼した。

もちろん、リーダーには適切な交渉条件を提示して、合意を得ている。

だが、リーダーは納得していても、そこに住んでいた集落の人々は納得していない。
そこで、その住民たちが、こっそり夜ごと侵入しては、動物を保護区外に移動していたのである。

「Monsieur トレーズ、貴社ヴァンポルトのプロジェクトが自然環境に配慮しているものだと、私どもとしても理解しております。」

「Madame オフィサーヒバリ、ありがとうございます。」

「ところで、貴社の懸案事項であった、野生動物の件については、当方の調査で、オロル族の行動の結果だとわかりました。今回の案件に、必ずしも納得していないということを、彼らなりの平和的な手段で示したもののようです。
 なお、動物は別な場所にいて、無事です。」


「それは何より。しかし、弊社では既にオロル族リーダーと立ち退き交渉は妥結済みなのですが…」

「書類上はそうかもしれません。
 ですが、私たちは、そこに住む人々も、自然の一部だと考えています。となると、そこに住んでいる人たちを、条件を整えたからと言って排除することが、自然環境保護にあたるのでしょうか。

 
 当方からは、この件を我々との共同プロジェクトとして成立させるために、以下の条件を提案いたします。
 一つは、保護区内に居住していた人々にその土地を返すこと。結果として、オリシャ自然保護区の面積は2割程度小さくなり、若干の経済効果の低下の可能性はあります。
 もう一つは、オロル族の中で希望する人を、自然保護区の動物ガイドとして正当な賃金の保証の上雇用することです。彼らが動物を取り扱う能力は、卓越したものであることが今回の調査で判明しました。それを観光の目玉とすれば、保護区の面積縮小に伴う利益低下を補って余りあるかもしれません。今一度、ご検討いただければと思います。」


「D’accord, Madame…今しばらくお時間をください。」


またやってしまった。
あの時はまだ若かったし、現地法人も大概悪徳だったけれど、今回は天下のヴァンポルトを敵に回してしまった。
先方も、決して悪気があったわけではなく、我々の考えるサステナビリティの条件を少し満たしていなかっただけの話だ。

本部では相当揉めたらしい。そりゃそうだろう。
うちの機関的にもかなりの予算を使ってるプロジェクトの、大幅スケールダウンなんだから。
私に対して、「またあいつか」とかなんやかや言った役員もいたらしいけど、ここで自分の筋を曲げる気もないからね。

来月私は帰国が決まったけど、これが懲罰人事なのか、ただの異動なのかはわからない。
まあ、ここまでがちゃがちゃやって、きっと私もう出世はないでしょうね。
一応方針は次の人も引き継いでくれると言ったし、やるだけのことはやったからいいか。


でも、意外だったのは、予算の元締め、オーディターのスティーブが私の弁護に回ってくれたってこと。

「金のことはこっちでなんとかする。うちのような公益のための国際協力機関が大義を曲げてどうする。」とかなんとか啖呵切ってくれたらしい。

なんだろう。桜の件に未だに恩を感じてくれているのかなw

でも何より、今回は事務所の皆さんが私を支えてくれました。
本当にありがとう。
私は部下に恵まれて、本当に幸せです。
これで胸を張って帰国できます。




「ママ?」
「玲美、どうしたの?」
いとこの香菜ちゃんだけどさ、今度新婚旅行でオリシャ自然保護区行くらしいよ。いーなー。人気なんだよね。あそこ。ものすごく動物に詳しい、地元の人が案内してくれるんだって!あそこって、ママが事務所長やってた時に関係してたとこなんだよね?」
「うん、まーね。ふふっ♡」

逆瀬川雲雀:ここでは50代半ばの現地事務所長。本部では副部長〜部長クラスの役職。この直前のイメージ。

ヴァンポルト社:フランス系資本のデベロッパー。時代の流れに合わせ、環境に配慮した開発を売りにしようとしている。ヴァンポルト(Vingt portes)とは、フランス語で20個の扉の意。

トレーズ:十三(仏)


出題者:
参加するには または してください
パトロン:
アシカ人参
と 匿名パトロン 3 名
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Cindy