whenever I'm dressed cool

着物姿の女性の後ろ姿というのは、なぜこんなにも美しいのだろう。

男は、凛とした和服姿の女性の、涼やかにまとめられた髪から匂い立つようなうなじにかけての線を、じっと見つめていた。

「どうかなさいましたか？」
振り向いた女性は後ろ姿以上に麗しく、周りにいるどの華やかなドレス姿の女性より輝かしかった。

「それは美容院などで着付けたりするものなのですか？」
「まあ、そうする方もいるでしょうけど、私は自分でしてしまいますね。」

「ところで、貴女は左利きですか？」

「ええ、そうですが…なぜお分かりに？」

なぜ男は女が左利きだと分かったのだろう。

「ええ、そうですが…なぜお分かりに？」

「夜会巻きというのでしたっけ？その髪型。
他の女性とは反対向きに巻かれていますね。
美容院に行かれたわけでもないということなら、ご自身でなさったのでしょう？」

女は、おもしろいことを気になさるのですね、と言って首を傾げて笑った。
首筋からは、ほんのりと白檀の香りがした。